■久保をスタメンで使うための変化
なぜ前節とやり方を変えてきたのか。それは久保のためだ。ハイプレスや1vs1でフィジカルの勝負をするタイプではない久保を、どうすればチームの弱点である守備を破綻させずにスタメンで使えるか、となった時に、この変化が生まれた。
つまり久保は、そこまでして使う価値がある選手だ、と思ってもらっているわけだ。
相手を背負ってボールを受ければ1タッチで反転して剥がすことができる、2人3人で対応されてもボールを失わずに味方につなぐことができる、良いボールを蹴ることができる、チームの誰よりも上手い、守備だってこなす……この試合でも、誰が見ても、間違いなくクオリティがあり、可能性を感じさせてくれる選手だ。
しかし、そこ止まりではいけない。ヘタフェからすれば久保は、外国人枠を使い、チームのやり方を変えてまでシーズン途中に迎え入れた攻撃の助っ人選手だ。その仕事は、良いプレーを見せることではなく、結果を残すことだ。守備の役割をこなすことも、守備に参加するから低い位置でボールを触らなければならない場面が多いことも、チーム事情的にプレー中の味方のサポートが手厚くないのも、文句は言えない。なぜならば、チームとしては、現状で久保のためにやれることはやったからだ。
右サイドで起用してくれた、スタメンで使ってくれた、チーム全体の守り方もアレンジしてくれた。はっきり言って、結果を残していない選手に対しては必要以上の好待遇だ。勝手知ったる仲のチームメイトだっている。
これで結果を出せないことに対して、もっと久保の守備の負担を軽減すれば活躍できる、や、もっと久保を中心にしたチームならば結果を出せる、とは決して言えない。それは、守備ができない選手、その選手のためにチームを作らなければ活躍できない選手、という評価と同じことだ。結果を出さなかった選手は後者のような、使いにくい選手、という評価が与えられるだけだ。
使う価値がある選手、と思われているうちに結果を出し、より良い環境を手に入れる。その繰り返しだ。結果を出した選手にはそういう環境が用意される。白い巨人のユニフォームも、その繰り返しの先に待っている。結果が全てだ。
■試合結果
ヘタフェ 1ー0 ウエスカ
■得点
69分 マウロ・アランバリ(ヘタフェ)