ウエスカの5バックに苦しみ、なかなか攻撃の糸口を掴めなかったヘタフェのファーストシュートは久保建英だった。14分、マルク・ククレジャのクロスボールをペナルティエリア内で競り合ってヘディングしたものだ。これはヘタフェデビュー戦となった前節でも見られた形で、サイドアタッカーは逆サイドからのボールに対してターゲットになる、というチームの約束事だ。ここからようやくヘタフェのペースになった。
16分のカルレス・アレニャのシュートを挟み、17分にはチーム3本目のシュートが久保のパスから生まれた。右サイドでボールを持った久保がペナルティエリア手前で中央にドリブルをし、その間に後方から上がってきた左サイドバックのアラン・ニョムにパスをした。
18分にはチーム4本目のシュートが放たれた。久保の直接フリーキックだ。ボールは枠内に飛んだが、ゴールキーパーに弾かれた。
5分弱の間に、チームの約束事、味方の利用、直接フリーキックのキッカー、という異なる3つの状況で久保が目立ち、ヘタフェの攻撃の中心として早くも信頼されていることと、その期待に応える力があることは明らかだった。
しかし、スタメンとしてチームの動きに適応したことで、前節のような輝きをこのチームで見せることは容易ではないことも明らかだった。
この試合で久保が放ったシュートは3本。うち2本は前述のもので、もう1本は2度目の直接フリーキックだ。ドリブルで切り込んでのシュート、という得意の形だけでなく、流れの中で左足を振りぬく場面は一度もなかった。
これはチームに適応したことで起きたことだ。最終ラインに不安を抱えるヘタフェは、前節ではなるべく前でボールを奪うために相手陣内での激しいプレスが目立っていたが、この試合ではやり方を変えてきた。