後半開始から、テレスに代わってルーク・ショーが投入された。前半と同じ展開であればテレスは必要だったが、スールシャール監督はマーカス・ラッシュフォードと合っていなかったことを問題視し、テレスを下げてまで背番号10をフィールドに残すことを選んだ。そうしてもラッシュフォードは目立たなかったが、ショーは単独でトラオレを止める場面も見せ、マティッチの負担が少なくなるとようやくポグバが攻撃に顔を出せるようになった。

 それでも、ゴールの気配は無かった。強固なブロックを敷くウルブス相手に、フェルナンデスやラッシュフォードが良さを出せず、カバーニもどうすることもできなかった。引き分けが妥当な展開だった。

 しかし、最後の最後でユナイテッドが勝利を手にした。フェルナンデスのロングボール1本でペナルティエリアまで侵入したラッシュフォードがシュートを放つと、相手ディフェンダーに当たってコースが変わったボールがゴールネットを揺らした。

 満身創痍の王様フェルナンデスを代えなかったのはスールシャール監督で、周りと合っていなかったエースを代えずに心中することを選んだのもやはりスールシャール監督だ。

 我慢比べで、信じた選手が勝利をもたらしてくれた。

 勝てなさそうな試合で最後になぜか勝ってしまう。サー・アレックス・ファーガソン監督時代の強いユナイテッドが頭をよぎったファンも多かっただろう。リバプールを2ポイント差で追う2位として2021年を迎えることになったユナイテッド。勝ちきるチームに変貌しつつあるのは、監督と選手の信頼関係の証でもある。


■試合結果

マンチェスター・ユナイテッド 1ー0 ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ

■得点

93分 マーカス・ラッシュフォード

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4