規律を重視するランパード監督が取り組んだのは守備戦術の注入だ。チェルシーは【4-2-3-1】と可変式の【4-3-3】を使いながら戦っている。とにかく相手にハーフスペースを使わせないという意味においてはランパードは徹底している。
中盤にはマテオ・コバチッチ、ジョルジーニョ、エンゴロ・カンテといった回収力の高い選手が控えている。彼らとトップ下のマウントをうまく回しながら、相手の陣形と戦い方を見つつ選手を入れ替え守備のところで規律と強度を担保している。
そして守備の強化のために、この夏、チアゴ・シウバやエドゥアルド・メンディといった選手を獲得。思えば、チェルシーが強かった時代にはジョン・テリーという絶対的なセンターバックがいた。チアゴ・シウバはサンジェルマンからフリートランスファーで加入し、36歳とベテランの域に達していたことで、年齢によるパフォーマンス低下が心配されたが、彼は全くもって「終わった選手」ではなかった。
またメンディはシュートストップに関して素晴らしい働きを見せている。彼の獲得に際してはチェルシーの元守護神で現在テクニカルディレクターとして入閣しているぺトロ・チェフの助言があったという。
対して、課題としては、そういった規律を守る選手、守備が強い選手を使うということに関しては長けている一方で、GKケパ・アリサバラガやオリヴィエ・ジルーといった攻撃で力を発揮する選手を使い切れていないという側面がランパードにはある。
ある種、それを解消するために、この夏チェルシーは大型補強を敢行した。カイ・ハーバーツ(移籍金8000万ユーロ/約96億円)、ティモ・ヴェルナー(移籍金5300万ユーロ/約63億円)、ベン・チルウェル(移籍金5000万ユーロ/約60億円)、ハキミ・ツィエク(移籍金4000万ユーロ/約48億円)、メンディ(移籍金移籍金2400万ユーロ/約28億円)といった選手を獲得した。
ランパード自身がアップデートできるか、今後はそこが問われていく。