「使えるものを、使っていく」
2014年、スポーツディレクターを務めていたアンドニ・スビサレッタはそう語っている。その年、バルセロナは未成年の外国人登録選手で規則違反があったとされ、FIFAから該当選手の登録禁止と2回の移籍市場における補強禁止という処分を科されていた。
スビサレッタの中に、カンテラーノをトップチームに上げる考えはあっただろう。クラブ内に混乱が生じていたからこそ、使える選手を使い、育成年代の選手たちのモチベーションを維持しなければならなかった。だがスビサレッタは道半ばでバルセロナを離れることになる。ジョゼップ・マリア・バルトメウ当時暫定会長が成績不振で彼の解任を決めたためだ。
■補強に注力
カンテラ出身選手でレギュラーを確保したのはセルジ・ロベルトが最後だ。今季はアンス・ファティが好調だったが、負傷で長期離脱を強いられている。
ムニル・エル・ハダディ(セビージャ)、マルク・バルトラ(ベティス)、サンドロ・ラミレス(ウエスカ)、マルク・ククレジャ(ヘタフェ)、ジョルディ・マシップ(バジャドリー)といった選手たちはバルセロナのカンテラ出身だ。いずれも、リーガエスパニョーラ1部で活躍している。
一方、近年のバルセロナは補強に注力してきた。ジェリー・ミナ、リュカ・ディーニェ、ジャン=クレール・トディボ、ジェイソン・ムリージョ、ジュニオール・フィリポ、アンドレ・ゴメス、アルトゥール・メロ、アルダ・トゥラン、マウコム、パコ・アルカセル、ネルソン・セメド、フィリペ・コウチーニョ、ウスマン・デンベレ、アントワーヌ・グリーズマン、フレンキー・デ・ヨング...。彼らの獲得に、1000億ユーロ(約1200億円)以上の補強費が費やされた。
リキ・プッチ、カルレス・アレニャ、アレックス・コジャド、オリオル・ブスケッツ、コンラッド・デ・ラ・フエンテら期待のカンテラーノは現在トップチームのベンチとBチームで待機している。
カンテラか、補強か。新型コロナウィルスの影響とクラブ財政を顧みれば、その答えは明白かもしれない。