■繰り返される敗退のパターン

 続く2010年大会、岡田武史監督は「端境期」の代表チームを率いて苦労した。イビチャ・オシム監督が病気で倒れ、またも「ピンチヒッター」として2007年末に就任した岡田監督は、「2002年組」の衰えもあって、新世代の攻撃陣が未熟ななか、ワールドカップ直前まで苦しんだ。しかし直前の親善試合で4連敗し、岡田監督へのバッシングが広がり、ファンの期待がまったく高まらないなか、それを逆手に取ってチームを一枚岩に固めることに成功する。

 初戦でカメルーンを1-0で下すと、優勝候補のオランダには0-1で敗れたものの、本田圭佑と遠藤保仁のFKでデンマークに3-1で快勝。見事グループリーグを突破する。この大会の戦いは守備を基本にしたもので、大会直前に遠藤と長谷部誠の「ダブルボランチ」とDFラインの間に「アンカー」として阿部勇樹を起用、中盤での守備力を強化したことが好成績につながった。

 だがその岡田監督も、「グループ突破」でメディアや日本のファンを見返し、ひと息ついてしまった選手たちを奮い立たせることはできなかった。ラウンド16で当たったパラグアイはデンマークから3点を奪った日本の攻撃力を恐れ、腰の引けた戦いをしてきたが、日本も消極的で、そこをアグレッシブにつくことはできず、0-0。PK戦3-5で敗れた。

 2014年ブラジル大会の失敗は、2006年と共通する点が多い。アルベルト・ザッケローニ監督の下、素晴らしい戦いで2011年のアジアカップを制覇。本田圭佑、香川真司を中心とした攻撃陣、長くコンビを組むMFの遠藤保仁と長谷部誠。ザッケローニ監督は非常に充実した時期の日本代表を率いて予選突破までは順調だった。しかしチームがワールドカップを2年後に控えた2012年に完成してしまっていたことが誤算だった。ザッケローニ監督は新しい力を導入することができず、ワールドカップを迎えるころにはチームの一体感も怪しくなっていた。

 加えて、日本サッカー協会もアメリカでの準備合宿で失敗してチームのコンディションを上げることができず、初戦で本田が素晴らしいゴールを挙げて先制しながら、コートジボワールに1-2の逆転負けを喫すると、第2戦では退場で10人になったギリシャを攻め崩すことができず、「大会で最も退屈な試合」と現地メディアに酷評される0-0の引き分け。最後は、すでにグループ突破が決まってメンバーを落としてきたコロンビアに前半こそ1-1と食らいついたが、後半、相手が主力のハメス・ロドリゲスを投入すると、あっさりと引き離されて1-4で敗れた。

「逆転負け、腰が引けた引き分け、1-4の大敗」というパターンは、まるで2006年大会の再現だった。そして結果の再現の背景には、選手にも日本協会にも、2006年と共通する失敗があった。

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