■徳島は”アタマ”を取って流れを作る
連戦の“アタマ”を取るのは大切だ。中2日または中3日で5試合を消化する連戦では、試合と試合の間の戦術的な修正が難しい。だからこそ、白星スタートで勢いを生み出すことが、連戦をうまく乗り切るための必要条件となる。5連戦という区切りで勝ち越していくことも、精神的な栄養になるとも言える。
過去2度の5連戦で、徳島ヴォルティスはいずれも“アタマ”を取っている。リカルド・ロドリゲス監督のもとで整理された戦いをしているのはもちろんだが、ポイントなる試合で勝利していることが、昇格レースを牽引する一角を担うことにつながっているのだ。
今節は新潟のホームに乗り込んだ。夏の大型補強で戦力をアップさせた新潟を決定的に崩せず、試合はスコアレスで進んでいく。
試合の構図は変えたのは、ロドリゲス監督の選手交代だった。63分に登場した岸本武流が右サイドの攻撃を活性化していき、82分に河田篤秀が送り込まれる。
決勝ゴールはそのふたりが生み出した。岸本が右サイドを突いてクロスを入れ、河田がテクニカルなヘッドで得点に結びつけたのだ。
この試合の前日に28歳の誕生日を迎えた河田は、昨シーズンのチーム内得点王である(13点)。シーズン終盤に価値ある得点を重ね、J1参入プレーオフ2回戦の山形戦では決勝点をあげた。
今シーズンはここまで19試合に出場しているが、スタメンは5試合にとどまっている。それでも、新潟戦の決勝弾はすでに6点目だ。
その内訳が目を引く。途中出場であげたゴールは4つを数える。2節の京都戦でのシーズン初得点は、チームを敗戦から救う貴重な同点弾だった。そしてこの日は、残り時間が10分を切ったところからの出場で結果を残した。
「交代した時点で両チームとも疲労が激しかったので、自分のスタイルが良く出ると思っていました。得点シーンはゴール前へ飛び込むことだけを考えていました。自分の得点で勝点3が取れたことは、すごく嬉しく思います」
J1昇格を手繰り寄せるチームには、短い時間で決定的な仕事をするジョーカーがいるものだ。それだけに、河田の活躍は徳島にとって頼もしい。今回も5連戦の”アタマ”を取った徳島は、5試合勝利なしのV・ファーレン長崎を抜いて2位に浮上している。