この変貌の理由はどこにあるのか?
浦和レッズは前々節の広島戦で、開始5分にPKで先制すると5-4-1にシステムを変更。5バックで守りに守って残り85分を耐え凌ぎ、1-0で勝った。
そして前節G大阪戦は、自陣に重心を置きながらも、24分にカウンターからMF関根貴大、33分にPKでFWレオナルド、57分には相手のミスを突いたFW武藤雄樹と、3得点を決めた。
60分にコーナーキックから失点したが、終始、浦和が安定した試合運びをした。
守備一辺倒でほとんど攻撃できなかった広島戦と、ゴールを3つも重ねたG大阪戦との違いは何か――それは高い位置取りからのプレスにある。
FW武藤は試合後に、「全体の意識が前にかかった。サイドハーフがウイングバックに引っ張られずに前にポジションを取れたのがポイント。守備のラインの高さが前になった」と分析した。
前線・中盤・最終ラインがコンパクトに守備陣形を敷きつつ、攻撃時には一気に押し出すことができたのはまさに両サイドの位置を常に高く取り続けたことにある。
ここで注目したいのが左サイドだ。
ドリブルを得意とするMF関根が守備に追われすぎず、攻撃にエネルギーを注ぐことができた。関根を支えた存在こそ、左サイドバックDF宇賀神友弥である。
これまで左SBは、開幕から9試合連続先発しているように山中亮輔が起用された。
山中といえば、ドリブル、クロス、フリーキックと攻撃性が高く評価された一方、守備に難があり、相手に山中の裏のスペースを突かれていた。
山中ほどの攻撃力はないものの、攻守においてバランスよくこなせる宇賀神を起用したことで安定感をもたらす狙いがあった。
広島戦、G大阪戦と2試合連続先発の宇賀神について大槻監督は「(G大阪戦の)後半、点差が開き、相手が前に出て来る時間になってから、全体として守備の時間が長くなった。しかし前半は左サイドで数的な優位だとか、攻撃のエネルギーを出す場面を多く作った。決して守備だけの選手ではない。あのポジションでのタスクを表現してくれている」と攻守の貢献度の高さを強調した。