前々回王者レアル・マドリーに必要なのは、逆転だ。
新型コロナウィルスの影響でチャンピオンズリーグは一時中断した。マドリーにとって、それは幸運だったかも知れない。
マドリーは決勝トーナメント1回戦、ホームで行われたファーストレグを落としている。マンチェスター・シティに1-2と敗れ、後がなくなった。そのままセカンドレグが行われていれば、シティが非常に有利だっただろう。
だが中断明けの試合でマドリーは「勢い」を手にしている。リーガエスパニョーラで破竹の10連勝を飾り、バルセロナを退けて優勝を達成した。無論、勢いだけではない。ジネディーヌ・ジダン監督のチームには明らかな変化が訪れている。
■マドリーの攻撃のメカニズム
今季、ジダン・マドリーが課題としていたのは「ベンゼマが空けたスペースをどうするか」だった。3トップの中央に配置されるカリム・ベンゼマは、左サイドに流れる傾向がある。ベンゼマ自身がフリーになり、前向きでボールを持ちチャンスメークするという意味では、これは機能してきた。
だが一方でジダン監督に別の問題が生まれた。攻撃の際のゴール前の人数不足だ。ベンゼマが左サイドに流れ、相手の陣形を崩したとしても、肝心のフィニッシュの場面でシュートを打つ選手が揃っていない。そして、空砲に終わった攻撃後にカウンターを喰らいピンチを迎えるという悪循環がマドリーに襲いかかっていた。
ただ、シーズン終盤、このポイントが修正されてきた。トニ・クロースをはじめ、中盤の選手が二列目から飛び出すようになり、加えてウィングの選手がダイアゴナルランでバイタルエリアやペナルティーエリアに侵入するようになったのだ。