■ロングスローとタテパスで一気に急所を突く
秋田の攻撃には、ふたつの大きな特徴がある。
ひとつはロングスロー。
立ち上がりから敵陣でのスローインの多くをゴール前に放り込み、タフな空中戦をくり返した。
もうひとつは、タテを突く中長距離のパス。
最終ラインや中盤の選手がルックアップするとフォワードが裏のスペースに走り、前線にタテパスが送り込まれる。
タテへの長いパスは本来、ゴールラインを割る確率が高いが、秋田は高い確率でパスが通り、前線で起点ができる。
それはフォワードの動き出すタイミングが絶妙で、もちろんパスの精度も高いからだ。おそらく、かなりトレーニングを積んでいるのだろう。
迫力のある球際に加え、ロングスローとタテパスによって秋田は敵陣に押し込む。
これが横浜にとって、ボディブローのように効いていったのは明らかだった。ロングスローから再三タフな空中戦を強いられた彼らは、次第にボールへの反応、反発力が鈍くなっていった。
そうした流れの中で81分、秋田はPKを獲得する。これは外してしまったが、彼らがフィジカルの優位性を効果的に生かしたプレーをしていることは十分に理解できた。
前述したように、彼らは今季J3最多となる16ゴールを決めているが、そのうち11ゴールを後半に決めている。
時間が経つにつれて、フィジカルの差が出てくるのだ。
手数をかけてパスをつなぐ、ポゼッション志向のチームが多いJリーグで、力強さを前面に押し出し、ボールを急所に打ち込む秋田のスタイルは個性的かつ刺激的だ。
不確定要素の多い今季、秋田がぶっちぎりで初のJ2昇格を決めるかもしれない。