久保建英の「傾聴力」!マジョルカ・コーチが明かした“聞き魔”素顔の画像
久保建英(RCDマジョルカ) 写真:ムツ・カワモリ/アフロ

 マジョルカと久保建英の挑戦は終わらない。2019-20シーズン、リーガエスパニョーラは変則的に進行している。新型コロナウィルスの影響により第27節終了時点で一時中断。およそ3カ月の空白期間を経て再スタートを切った。マジョルカを筆頭に、残留を争うクラブにとっては難しい状況になった。FIFAのルール変更で1試合の交代枠が5名になった。だがそれは有能な選手を多く擁するビッグクラブへの恩恵に他ならなかった。現に、レアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリーの3チームはここまで無敗を維持している。しかし、マジョルカは最後まで戦うだろう。そして、彼らの敢闘精神こそが、コロナの打撃を受けた観光都市マジョルカとマジョルキン(マジョルカの人々)に勇気を与えるものになる。

■久保の移籍とインパクト

 思えば、久保の移籍は大きなサプライズだった。

 FC東京からフリートランスファーでレアル・マドリーに移籍した久保は、当初、マドリー・カスティージャ(Bチーム)でプレーする予定だった。ラウール・ゴンサレス監督の下、ロドリゴ・ゴエスと久保がダブルエースとしてチームに君臨するはずだった。

 だがプレシーズンのパフォーマンスが、すべてを変えてしまった。ジネディーヌ・ジダン監督率いるトップチームのアメリカ遠征に帯同した久保は世界のトッププレーヤーたちと遜色ないプレーを見せる。その余りある才能をリーガ1部のクラブが放っておくわけがなかった。

 バジャドリー、エスパニョール、複数クラブが久保に関心を寄せた。そんな中、マジョルカが久保を射止める。その時懸念されたのは、バルセロナのカンテラーノであり、レアル・マドリーが保有権を有する選手が、いかにしてロッカールームに溶け込むのか、だった。しかし、それは杞憂に終わる。「タケと話して、すぐに疑念は晴れた」とスペイン紙『エル・パイス』に語ったのはビセンテ・モレノ監督の下でアシスタントコーチを務めるダニ・ペンデリンである。

「タケの受け答えは、26歳の青年のようだった。私には19歳の息子がいるが、彼らを比べると、差は明らかだ。あるいは、カンテラから上がってくる選手を指導する機会があるけれど、彼らは時に理解しているのか疑わしいところがある。だがタケは違う。他人の話をよく聴き、セットプレーやポジショニングに関しては、日常的に私に質問をしてくる。彼は"聞き魔"なんだ」というペンデリンの言葉には説得力がある。

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