■森保代表監督に影響する可能性も

 結論として、今季のACLは、たとえばラウンド16から準決勝までを東西での集中開催とするなど大幅にフォーマットを変えるか、現時点で打ち切るしかないと私は考えている。AFCが気にかけているクラブワールドカップ自体が開催されない可能性も充分ある。ACLだけでなく、UEFAチャンピオンズリーグも南米のリベルタドーレス杯も先行きがまったく見えない状況だ。この状況で、FIFAが「パンとバター」と表現したようにプロサッカーのよって立つ基礎である国内リーグを犠牲にするようなことがあってはならない。 

 一方のワールドカップ2次予選は、とりあえず「10月再開」ということで準備を進めるしかない。日本が残しているのは、AFCの予定によれば、10月8日のミャンマー戦(ホーム)、13日のモンゴル戦(アウェー)、11月12日のタジキスタン戦(ホーム)、17日のキルギス戦(ホーム)。日本としては、3つのホームゲームの開催地を決めて準備を進めるということになる。

 他の4チームが5試合を消化し、日本だけが4試合を残しているが、4戦全勝で2位以下に大きく差をつけている日本の2次予選突破はまず間違いない。

 欧州のクラブに所属している選手たちを呼び戻すことができる状況になるのか、現時点では予想もできないが、仮にJリーグ勢だけで戦うことになっても首位の座を明け渡す心配はないだろう。Jリーグは、日本代表が招集されている期間にも試合を行うと発表している。村井満チェアマンは「選出されるチームとそうでないチーム、若干の不公平はのみ込んででも試合を継続する」と、代表活動期間は代表活動優先という方針を語っているが、森保一監督の足かせになる恐れは充分ある。

 この予選に先立つ9月の「国際試合期間」をどうするのかもまったく未定のなか、相手の力はともかく、日本代表としてはことし中に行われる試合をおろそかにすることはできない。AFCの計画どおりに進めば、11月の次の代表活動期間である3月には、3次予選(最終予選)がスタートするからだ。

 AFCの「再開プラン」は、現時点では「絵に描いた餅」に過ぎない。とくにACLは、ただ「完遂したい」というだけで、何の見通しもない。ワールドカップ予選も同様だが、こちらの「餅」は食べられる可能性もある。1カ月後がどうなっているのか、誰にも予見できない現在の世界。アジアのサッカーが翻弄(ほんろう)されている。

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