AFCの再開プランは『絵に描いた餅』か(後編)の画像
森保一日本代表監督 写真:アフロ
過密日程どころではない。アジアサッカー連盟(AFC)が発表したACLの試合スケジュールのことだ。これを実施することは、ほとんど不可能ではないだろうか。

■国際試合は可能なのか

(※前編はこちらから)

 4月15日に決定された今季のJリーグ大会方式により、「全試合の75%、かつ、全クラブが50%(ホーム、アウェイを問わず)を開催」すればリーグが成立することになっている。「ACLで勝ち進んだチームは、Jリーグで消化しきれない試合があっても仕方がない」という形でなければ、ACLを戦い続けることはできないだろう。

 ただ試合には相手がある。ACL優勝を目指すチームが試合を消化しきれなければ、その対戦相手も消化しきれない試合を残すということになる。降格がないといっても、賞金や来季のACL出場権の問題、さらにはことし、JリーグからはJ1の上位2チームだけに与えられる天皇杯の出場権にもかかわってくる。簡単に「日程が取れないので中止にします」で済むだろうか。再開後、特定の試合が消化できない状況とは、何よりも、そのクラブで、あるいはクラブがある地域で再び急激にコロナウイルスの感染が広がり、再び「緊急事態宣言」が出るような場合を想定していると思われるからだ。

 ACLで決勝に進むまで残り12試合とすると、7月から11月までの5カ月間で毎月2試合入れても間に合わない。スタートが8月以降になるなら、現在のフォーマットを維持して11月までに大会を完結するのはきわめて難しいのは明白だ。

 何よりも大きな問題は、実質的に世界の多くの国が「鎖国状態」にある現在、実際に国際試合をすることがいつ可能になるのかという点である。

 現在ACL東地区の3つのグループ参加している日本の3クラブが対戦する中国、韓国、マレーシアへの渡航は、外務省によって現在も「渡航中止勧告」が出ている。それらの国も、日本からの入国に小さくない制限をつけている。そして何よりも、日本への入国の制限、入国後の行動制限も、まだ続けられている。こうした措置が残されたACLの試合に出場するすべての国で解かれなければ、そこで大会はストップする。

 6月3日にACLの継続方針が発表されたとき、オーストラリアでは「棄権するしかない」という報道が流れた。オーストラリアに入国する人はすべて14日間の行動制限を受ける。たとえ遠征して試合ができたとしても、帰国後2週間は試合ができない。またホームゲームをしようとしても、対戦相手には2週間も前にオーストラリアにはいり、合同トレーニングも難しい状況で過ごしてもらわなければならない。

 クラブワールドカップを開催するカタールからは、「冷房付きのスタジアムを用意するので、ACLの試合をすべてカタールで開催してはどうか」という提案がなされている。夏期の日中の気温が平気で40度を超す西アジアのグループを想定しての提案だろうが、ACL全体を考えれば、根本的な解決にはならない。

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