気候の違いが勝敗を大きく左右した2014ブラジル・ワールドカップ。この大会では酷暑の地マナウスに送られた8チームが次々と敗退する、恐ろしい現象が起きた。
優勝経験国を押しのけてベスト16一番乗り
暑さに苦しんだチームがあるということは、暑さを味方にしたチームがあるということ。
前回記事で出したクイズの答えは、
そう、コスタリカです。
この中米の小国はブラジル大会最大の旋風を巻き起こし、同国史上最高となるベスト8に進出。準々決勝でもオランダをPK戦まで追いつめた。
私も含めて戦前、コスタリカの躍進を予想した人は皆無に等しい。それどころか、グループリーグ敗退が確実視されていた。
というのも、イタリア、イングランド、ウルグアイが同居する、いわゆる「死のグループ」に放り込まれたからだ。
ワールドカップは第4回1950年ブラジル大会以降グループリーグを実施しているが、同じグループに優勝経験国3つが鉢合わせした例はない。その中に放たれたコスタリカは、“祭壇に捧げられた哀れな子羊”と見られていた。
そのことはブックメイカーのオッズも物語る。
大会前年の11月、英大手「ウィリアムヒル」が発表した優勝オッズで、コスタリカはイラン、オーストラリア、ホンジュラスと並ぶ最下位タイ。2501倍がついた。
過去の実績やグループリーグの組分けの不運を考えれば、妥当というほかない。
だが、コスタリカは旋風を巻き起こした。
その理由はひとつ。多くのチームを悩ませた、ブラジルの暑さを完全に味方につけたからだ。
コスタリカのグループDは、全6試合中4試合がマナウスを含めた酷暑の北部で開催された。
そして彼らは蒸し暑い北部の連戦でウルグアイ、イタリアを立て続けに破り、決勝トーナメント一番乗りを決めてしまう。
高温多湿の中でのプレーは、実はコスタリカはお手のもの。
私も一度訪れたことがあるが、彼の国は常夏で、とりわけカリブ海沿岸は一年中雨が多い。高温多湿には慣れているのだ。
祖国と変わらない気候の中で、コスタリカは躍動。長く厳しいシーズンの疲れが抜けていないスター軍団を圧倒した。