■他クラブから加入の過半数がJ2
畠中慎之介は2018年シーズン途中にJ2の東京ヴェルディから加入し、その年限りで引退することになる負傷中の中澤佑二に代わって、すぐさま最終ラインの要となった。昨季、やはり長年のレギュラーだった飯倉大樹から正守護神の座を奪う形になった朴一圭に至っては、その前年のプレーの舞台はJ3だった。年代別日本代表に入っており、今夏の東京五輪出場を狙える渡辺皓太も、昨季途中に東京Vからやって来た。
今年も9人が他クラブから加入したが、そのうち実に過半数の5人がJ2クラブからの獲得だった。こうした流れをつくったのは、J2を経験してから横浜FMにやってきた強化スタッフだ。
2017年にクラブに加入し、2018年9月にスポーティングダイレクター(SD)となった小倉勉氏は、年代別日本代表に関わった時期があるものの、千葉などで長くJ2を経験した。同じく強化に携わる昼田宗昭アシスタントSDも千葉で小倉氏とともに働き、その後は東京Vで長くJ2を戦ってきた。日の当たらない場所での経験が、国内最高峰の舞台で花開いたのだ。
徳島ヴォルティスから加入したGK梶川裕嗣はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)初戦で早くも新天地デビューを果たし、リーグ初戦でもベンチに入った。前貴之はレノファ山口で守備のユーティリティ性を証明しており、アジアでの戦いも含めて試合数が増える今季、チームを大きく助ける存在になり得る。背番号2を与えられた山本義道は、ツエーゲン金沢でのプレー映像をポステコグルー監督が確認し、獲得にゴーサインを出したという。
開幕戦からスタメンを奪う新戦力はおらず、ベンチに入ったのはGK梶川とJ1での実績がある水沼宏太だけ。このように新加入のJ2組は、まだバックアップの域を出ていないが、昨年の朴一圭の抜擢もシーズン途中だったことを考えれば、先入観のない外国人監督の下、突然“下克上”する選手が出てくるかもしれない。そうなれば、補強の評価はさらに上がり、連覇にも近づくだろう。