サンフレッチェ広島 2020年チーム展望
<戦力評価> B
<今季の目標> ACL出場権獲得圏内
<補強分析> B
<戦術> A
<フロント力> B
城福浩監督の下、ここ2シーズンは2位、6位と、連続で1ケタ順位に入っている。一昨年よりも順位は落とした昨季だが、2018年の勝ち点57とほぼ同等の55ポイントを挙げており、失点は37から25へ減少と、着実な進歩を示している。
補強はあまり派手ではなかったが、昨季レギュラー格の流出を稲垣祥(→名古屋)のみに抑えた。3年目を迎える城福体制で「積攻」をスローガンに掲げるチームとしては、まずまずの戦力が整っていると考えていいだろう。
リーグ開幕戦でも、J屈指の名門である鹿島アントラーズに3-0と快勝。しかも、昨季からの上積みが、しっかり形として出た。相手のミスを逃さず、ショートカウンターを発動して、ゴールに結びつけたのだ。城福監督も、「これは今年、われわれが目指している得点パターンの一つ。これからも積み上げなければいけないが、まず成功体験を得られたのは大きい」と、手応えを口にしている。
このまま上昇気流に乗りたい今季だが、オフ期間にはひと騒動あった。発表された新シーズンの白を基調としたセカンドユニフォームが、クラブカラーの紫ではなく赤をフィーチャーしたものとなっていたからだ。これはサプライヤーのナイキが、今夏の東京オリンピックに臨む日本をイメージし、同じくユニフォームを提供している浦和、鹿島と統一感を持たせたためだという。クラブごとにモチーフとした赤とのつながりが説明されており、広島については同じホームタウンのプロ野球・広島東洋カープにインスパイアされたとしているが、ライバルである浦和、鹿島を思わせる赤の採用にファンが反発。電話やメールで多くの批判が寄せられたと報じられている。
その後、カープと共同で、両チームのカラーである赤と紫を反映し合った記念ユニフォームを製作することが発表されたが、サポーターズの不満は消えなかったようだ。サポーターズ・カンファレンスでも、ユニフォームに関する質問の声が上がっていた。
その際には、運営本部長がナイキとのつながり、これまでの支援などの経緯を説明。「過去、経営危機が3回ありました。1回目が1999年、2回目が2007年、3回目が2012年の初めです。普通の会社ならつぶれています」(クラブHPの議事録より)と、運営の難しさを語っている。カープとの共同ユニフォームについても、「後付けだ、という声も聞きますが、そんなことは1週間程度の短期間では絶対にできません」(同)と、クラブの発展のための決定に理解を求めた。