13年前の二の舞に?
J1を戦うのは13年ぶりであり、前回を知るのは「キング・カズ」こと三浦知良だけ。まったく違ったチームになっている。さらには昨季からも10人以上の選手を入れ替え、必死にJ1残留をつかみ取りにいっている。
だが、戦力のバランスがどうにもちぐはぐだ。神戸との開幕戦での先発メンバーを見ても、J1の経験が豊富な既存戦力は、41歳の中村俊輔や34歳の伊野波雅彦、33歳のカルフィン・ヨン・ア・ピンなど、ベテランの域に入っている。志知孝明(←水戸ホーリーホック)や手塚康平(←柏レイソル)、クラブの今季初ゴールを奪った瀬古樹(←明治大学)といった新戦力も先発したが、こちらはトップクラスでの経験が圧倒的に足りない。アカデミー育ちで昨年のU-20ワールドカップにも出場した斉藤光毅のような若手もいるのだが、そうした選手に過度なプレッシャーを感じさせずに送り出し、自由にプレーさせて可能性を広げるような余裕があるようには、少なくとも現状ではみえない。
13年前のJ1への挑戦では、38歳の山口素弘や40歳のカズ、37歳の小村徳男らベテラン勢も多く起用されていた。個人の能力のある元日本代表の久保竜彦や奥大介らを獲得し、シーズン途中にもやはり日本代表経験のある34歳の山田卓也を加えたが、チーム力は残留に足りなかった。
今回のチャレンジでも、ベースにベテランが多いことは共通している。さらに新戦力は、J1での計算が立つ即戦力とは言い難い。2007年の二の舞となってしまうのか…。
すでにチーム編成が終わった状況で、期待がかかるのは指揮官の手腕だ。前回とは違い、下平監督にはJ1での指揮を執った経験がある。ただし、今季正式入団ながらすでに特別指定選手として昨季に21試合出場6得点の記録を残した松尾佑介(←仙台大学)ら若手の迫力あるサイドアタックを活かすこれまでの戦術からの変更が不可避となると、13年前とは異なるJ1残留のシナリオを書くことは、かなり困難を伴う作業になりそうだ。