日本で32年ぶりに開催されたアジア競技大会が幕を下ろした。サッカー競技では男女ともに決勝へ駒を進め、男子は悔しい準優勝、女子は激闘の末に3連覇の偉業を達成した。しかし、結果という表面的な数字だけでは見えてこない「両代表の真の実力と課題」がピッチには刻まれていた。銀メダルに終わった大岩ジャパンが見せた特筆すべき強さとは? サッカージャーナリスト後藤健生が、日韓戦の深層から日本代表の現在地を深掘りする。【第1回/全3回】
■「兵役免除」という劇薬…U-23韓国代表が絶対に負けられない理由
第20回アジア競技大会男子サッカー決勝戦で、大岩剛監督率いるU-21日本代表は韓国に敗れて銀メダルに終わった。
この勝利によって韓国はアジア大会で4連覇を達成。直近の3大会の決勝戦はいずれも日本と韓国の対戦となり、いずれも韓国が1点差で勝利している。
ご承知のように日本はアジア大会には2年後のオリンピックを見据えてアジア大会開催年で21歳以下の選手だけで参加している。一方の韓国は大会規定いっぱいの23歳以下の選手たちに加えて3人のオーバーエイジも起用してくる。
つまり、アジア大会での日韓戦は“非対称戦”あるいは“ハンディキャップ戦”となっているのだ。
さらに、韓国の場合、アジア大会で金メダルを獲得した選手には兵役免除の特典が与えられる。
北朝鮮との政治的・軍事的対立が続く韓国ではすべての男子に約1年半の兵役の義務があり、たとえば世界的アイドルグループのメンバーですらそれが免除されることはない。
しかし、スポーツ選手にとっては選手キャリアの中で最も重要な20歳台に兵役に行って一時的に活動を制限されることは非常に深刻な問題だ。サッカーの場合、兵役中も「金泉尚武(クムチョンサンム)FC」という兵役服務中の選手によるチームがKリーグ1に所属しているのでプレー機会は与えられるが、それにしてもキャリアの妨げになることは間違いない。
だが、アジア大会やオリンピックで金メダルを取れば、その兵役が免除されるのだ。選手たちにとっては優勝へのモチベーションがこの上なく高くなる仕組みだ(ちなみに、ワールドカップ本大会ではたとえグループステージを突破したとしても兵役免除にはならない)。

























