新生・浦和レッズ「光明と死角」(1)完璧デザインのCKと痛恨の退場劇「なぜ主導権を握りながら数的不利に陥ったのか?」曺貴裁・新体制が直面した開幕戦のリアル の画像
痛かったマテウス・サヴィオの退場。サヴィオは自身のSNSを通じて「チームメイトやコーチ陣、サポーター、そしてクラブに与えてしまった損害を、謝罪だけでは埋め合わせられないことは承知しています。私は過ちを犯しましたし、それを誇りに思うことはありません。このような過ちは二度と繰り返しません」と反省と謝罪のコメント。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 いよいよ開幕した2026-27シーズンの明治安田J1リーグ。8月7日、パナソニックスタジアム吹田ではガンバ大阪と浦和レッズの一戦が行われた。
 G大阪のイェンス・ヴィッシング前監督が開幕直前にサウジアラビアのクラブに引き抜かれ、明神智和コーチが急きょ新監督に就任するという緊急事態を迎えたホームチーム。
 一方の浦和も、京都サンガF.C.を率いた曺貴裁(チョウ・キジェ)氏を新監督に招聘し、両チームともに新体制でこの開幕戦に臨んだ。
 1人の退場者を出しながらも点の取り合いとなった壮絶なシーソーゲームの裏で、一体どのような戦術的駆け引きと「エラー」が起きていたのか。
 戦術分析のスペシャリスト・川本梅花氏が、DAZNのハイライト映像に沿ってこの一戦を考察・解剖する。 https://www.youtube.com/watch?v=iChQ_yH_uYQ 
 読者の皆様には、ぜひ実際の試合映像と照らし合わせながら読み進めてほしい。

 監督が変われば起用される選手も当然変化がある。特に、浦和は左センターバック(以下CB)にファジアーノ岡山などに期限付き移籍をしていた工藤孝太を起用。また、左サイドバック(以下SB)にはFC町田ゼルビアからやってきた林幸多郎を、さらに右のインサイドハーフ(以下IH)にはFC今治から移籍してきた19歳の笹修大がスタメンに名を連ねた。

 G大阪のフォーメーションはダブルボランチにワントップを置く「4-2-3-1」。対する浦和は、中盤に逆三角形のアンカーを置く「4-3-3」である。

■ オフ・ザ・ボールの駆け引きと、痛恨の退場劇

【17分の小森飛絢の先制点】

 この得点は、金子拓郎のきれいなセンタリングと小森のポジショニングの良さがもたらしたものである。小森は、CBの池谷銀姿郎の背後に入り込む。オフ・ザ・ボール(ボールを持っていないときの動き方)の動きがうまい小森を背後にポジショニングさせてはいけない。池谷は小森を自分の前に押し出すように、小森より後ろにポジショニングしていなければならない。

 インスイングでゴールに向かってくるクロスを、バックステップでクリアするのはとても難しい。だから、小森を前に動かすような駆け引きをするべきであった。さらに、金子がクロスを上げる瞬間、浦和の選手は、左のファーサイドに渡邊凌磨がいて、右のニアサイドに笹修大が構えている。

 ゴールエリアのところでG大阪は3人で守っているが、浦和も数的同数の3人が待ち構えていた。こうした状況は、G大阪の守備陣にとってマークが付きづらい状況だったと言える。

 

【20分のマテウス・サヴィオの退場シーン】

 浦和にとっては主導権を握ってゲームを進めていたところでの退場劇は厳しい。林幸多郎は遅れてスライディングして危険なプレーをしてしまった。スライディングする必要のない場面だった。スライディングは最終手段であるので、ここでは競り合うだけでよかった。このシーンでわかることは、林は守備に関してあまり得意な選手ではないことである。

 ただし、マテウス・サヴィオが退場となった直接の理由は林のタックルではなく、その直後の小競り合いである。林に詰め寄った相手の安部柊斗をサヴィオが激しく突き倒したことで、反スポーツ的行為としてこの試合2枚目のイエローカード(前半11分に1枚目)を受け、退場処分となった。林の軽率なプレーとサヴィオの報復行為が、浦和に重い代償を払わせることになった。

 

【26分の渡邊凌磨が倒された場面】

 20分の林の危険なプレーに対するG大阪の報復行為と取られてもおかしくないプレー。なぜなら、出した足がボールに当たっておらず、渡邊の足に直接当たっているからである。曺監督が興奮して抗議した結果、イエローカードをもらうことになる。

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