8月8日、相模原ギオンスタジアムではJ3リーグ開幕戦の相模原SC対ロアッソ熊本の一戦が行われた。試合は0-0ドロー。終了後のインタビューに呼ばれたのは、アウェーチームである熊本のDF薬師田澪だった。
2003年10月17日生まれで現在22歳の薬師田は、熊本県宇城市出身。地元の小・中学校を卒業して熊本県立大津高校、法政大学へ進学。2026年に「熊本で育った一人の男として、このクラブ、この街、このエンブレムのために、全力で闘い抜きます」と宣言して地元クラブの熊本に加わると、百年構想リーグからレギュラーとして12試合に出場し、この日の新シーズン開幕戦にも右センターバックとしてスタメン出場した。
ピッチに立った薬師田だが、その脳裏には変わり果てた故郷の景色と、そこに暮らす人々の顔が浮かんでいた。
11日前、先月28日に発生した熊本地震で、薬師田の故郷・宇城市は最大震度7を観測。約4600棟と県内で住宅被害が最も多く、多くの市民が避難所暮らしを強いられている。その状況下での試合。薬師田は持ち前のクレバーなディフェンスに加えて、体を張ったプレーで何度もシュートをブロック。最後まで得点を許さず、敵地での勝点1獲得に貢献した。
その試合後のインタビュー。熊本を代表して呼ばれると「自分は宇城市出身で、被災地だったんですけど…」と話し始めたところで言葉に詰まった。
薬師田は「すみません」と込み上げる涙を堪えながら「やっぱり勝ちたかった。どんな状況でも応援してくれる人たちがいるんで…」と続けたが、そこからは被災した故郷を思い出して涙が止まらず。それでも一つ一つ、言葉を紡ぎながらファンへの感謝を語り、最後は「次戦、ホームでしっかり勝って被災した方々に元気と活力を与えたい」と言い切った。



























