スウェーデン戦で突如として主審から執拗な注意を受け、約3分間もピッチ外へ出ることを余儀なくされた中村敬斗。W杯デビュー戦のオランダ戦でのゴールを皮切りに、チュニジア戦のアシスト、スウェーデン戦での惜しいノーステップシュートと、好調を維持する彼のパフォーマンスを支えていたひとつには、足のけいれんを防ぐための「短いソックス」があったのではないか。サッカージャーナリスト・田嶋コウスケ氏が、中村がこのスタイルに行き着くまでのヨーロッパでの切実な格闘を解き明かす! そして、次なるブラジル戦を前に、サッカー界のルール運用が抱える「問題」に警鐘を鳴らす!
■「ふくらはぎの部分をハサミで切ってプレーしていた」
2021〜23年まで在籍したオーストリアのLASKリンツでプレーしていたときは、中村敬斗はソックスを上げていた。ただし、そのまま履いていたのではない。ふくらはぎの後ろ側をハサミで切って、圧迫を逃がしていたという。
「オーストリア時代はソックスを上げてプレーしていましたし、ソックスの後ろ、ふくらはぎの部分をハサミで切ってプレーしていたんですよ。そうすると圧迫感が軽減されるので」
それが変わったのは、23年夏にフランスのスタッド・ランスに移籍してからだった。デビュー戦となったマルセイユ戦で、思わぬ注意を受けた。
「フランスではソックスを切るのが禁止らしくて。僕のデビュー戦となったマルセイユ戦で言われて、ビックリしました。途中出場だったけど、急いで履き直した。上から二重でソックスを履きました。次の試合から、ソックスを下げてプレーするようにしました」
本来なら、ソックスを上げたままカットして圧迫を和らげる。それが中村にとって最も自然な対応だった。しかしフランスではそれが認められなかった。そこで、別の方法を探すしかなかった。
関係者によれば、当初はソックスを重ね履きするなどして対応を模索していたという。だが、二重にすれば足がごわつくのはもちろん、そもそも二重にすることでふくらはぎをより強く圧迫してしまう懸念もあった。試行錯誤の末、最終的にたどり着いたのが、現在のようにソックスを下げるスタイルだった。
だがもちろん、危険もある。小さいシンガードをつけてスネを露出すれば、接触プレーによるケガのリスクは高まる。中村自身も、最初は怖さがあったと認める。
















