■大宮そして長崎との「大一番」を制すには

【45分の加藤千尋の得点の場面】 
 多田圭佑がクロスを折り返して加藤に送ると、そのボールを加藤はおなかに当ててから、ボールをゴールに叩き込む。多田が相手と競り合ってヘディングで折り返したことが大きい。

 林雅人コーチに、夏のあるときに「多田は大学出て1年目だからプロのスピードについて行くのに時間がかかるんじゃないの?」と尋ねたことがあった。「いや、形になってきていますよ」との答えだった。それから途中出場するようになって、その後スタメンで起用されるようになった。加藤の前にいたエドゥアルド・マンシャは、加藤がまさかシュートを打ってくると思わなかったのだろう。

【試合終了前のアディショナルタイムの場面】
 水戸のラインが相当に低い。守りに徹する考えからなのだろうが、相手がボールを下げたらラインを上げるようにしないと、甲府の選手がフリーでクロスを上げることができてしまう。

 水戸の中盤の選手は、相手がボールを下げたらラインを上げないと、最終ラインは上げることができない。小林のクロスの際には、水戸の選手との距離が開いていたので、小林はフリーでクロスを上げることができた。原理原則を最後の場面も貫かないと、失点してしまうことになる。後半のアディショナルタイムで得点を入れられるケースがある水戸の、ここが課題なのだろう。

 11月9日の第36節のRB大宮アルディージャ、さらに11月23日の第37節のV.ファーレン長崎との大一番を控える水戸。おそらく、長崎戦によってJ1昇格が決まってくる。甲府で見られたように、ゲームの終わり方に、もう一工夫が必要だと思う。

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