16会場中「暑さや雷も平気」全屋根式スタジアムの数、72か国のプロ選手が求める「ハーフタイム」の長さ、サッカー「持続」のために【北中米ワールドカップは「10月開催」にすべし】(3)の画像
最高のワールドカップを実現するためには、国内リーグを含めた「構造改革」が必要かもしれない。撮影/原悦生(Sony α1使用)

 猛暑に代表される「気候変動」が日本はもちろん、地球規模で大問題になっている。サッカーもその影響を免れることはできず、アメリカで開催中のクラブW杯でも、突然の落雷などで試合が2時間近くも中断するなど、さまざまな実害が出ている。“世界最大のスポーツの祭典”であるワールドカップだが、今後も開催できるか分からないと警鐘を鳴らすのは、サッカージャーナリスト大住良之氏だ。ワールドカップ、ひいてはサッカー競技を守るために、我々は今後どうすればいいのか? 大住氏が「開催日程」の変更などを含めた、大規模な「構造改革」を提案する!

■暑さ対策で「クォーター制」採用

 東西では時差も3時間。当然、気候もそれぞれにまったく違う。その中には、メキシコの3都市やアメリカのマイアミといった猛暑が予想される都市もあり、「最北」のバンクーバー(カナダ)や、それに近いシアトル(アメリカ)など、通常の夏なら快適な気候の町もある。

 暑さとともに、頻発する雷にも対応するには、「全屋根式スタジアム」での試合開催しかない。しかし、今回の16会場のうち、そうした設備を持つのは、ダラス、ヒューストン、アトランタ、ロサンゼルスのアメリカ4会場と、バンクーバー、計5会場しかない。他は、暑さや雷雨を心配しながらの開催となる。

 暑さ対策としては、後藤さんも主張していた「クーリングブレーク」を用いた実質的な「クォーター制」の採用や、15分ごとの飲水などの提案がされている。いまや世界の72の国のプロサッカー選手協会が加盟し、影響力を持つようになった国際プロサッカー選手会(FIFPRO)は、2026年大会ではハーフタイムを20分間にすることを求めている。

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