■客席も冷房の「快適な大会」
そのような状況に大きな影響を受けるのが、ワールドカップではないだろうか。
ワールドカップは、原則として6月から7月にかけて行われることになっている。これは欧州のクラブサッカーのシーズンオフに合わされているためだ。だから北半球の大会だけでなく、南半球の大会でも、時期は変わらなかった。高地と暑さが重なった2回のメキシコ大会(1970年、1986年)も、開催時期は変わらなかった。
ワールドカップが雪に見舞われた記憶はない。しかし、南半球の大会では6~7月は冬に当たり、寒さに震えたワールドカップもあった。とくに1978年のアルゼンチン大会の前半戦は、非常に寒かった記憶がある。
その初めての例外が、2022年のカタール大会だった。6~7月のカタールは日中の気温が40度からときに50度にもなる。カタールの組織委員会はピッチだけでなく、観客席も冷房して快適な大会にすると約束したが、結局11月から12月にかけて、極めて異例な時期の開催となった。