■猛暑から「選手」を守るために…
韓国で行われている東アジアE-1選手権で、面白いシーンがあった。女子の日本×チャイニーズ・タイペイの一戦。後半25分に日本がオウンゴールで4-0と差を広げると、得点の合図の直後にタイのチャイサニット・パンサ主審は両チームに「飲水」を指示した。だが、両チームの選手たちがベンチ前に戻ってひと口飲むか飲まないかのタイミングで、再び笛を吹いて選手たちをピッチに戻らせた。そして5分後、長い笛を吹くと、「クーリングブレーク」を宣言したのである。
午後4時半キックオフの試合。キックオフ時の気温は35度に達していた。前半も30分が経過したときに3分間の「クーリングブレーク」をとったのだが、後半はあまりの暑さの中で主審も「30分前後に」という取り決めを忘れてしまったのだろうか。
Jリーグでも、夏場の試合では「飲水タイム」をとることが多いが、選手はピッチを離れずに1分間で給水を済ませる。これに対し、ルールでは、しっかり選手を休ませる「クーリングブレーク」も、3分間まで認められている。この場合、できれば冷房設備のある更衣室に戻るのが理想的なのだが、それができないときにはベンチ前でとる。
この試合では、「飲水タイム」と同様、選手たちはピッチを出ずに氷で頭や首を冷やすなどの処置をとっていたが、「クーリングブレーク」は単に水分補給をするだけでなく、暑熱下のプレーで上がった体温を下げて「事故」をなくすことを目的にしている。更衣室に戻れないのなら、せめてベンチに座らせて休ませるほうがよかったと思う。