■相手DFを惹きつける「マテウス・ジェズス」の存在感
マルコス・ギリェルメが椿に縦突破を許した直後の26分だった。3バック中央の照山颯人が、前線へロングフィードする。3-4-2-1の左シャドーに配されたFW山崎凌吾が、このボールに反応する。相手CBが辛うじて触ったボールを収め、1トップのマテウス・ジェズスへつなぐ。マテウス・ジェズスはペナルティエリア内左へ走り込んできた左ウイングバックのMF増山朝陽へボールを託すと、ここ数試合好調の背番号8が相手GKを襲う右足シュートを放ったのだった。山崎のランニングが千葉の右ウイングバックを中央へ引きずることとなり、増山がフリーになったのである。
29分にも同じような場面を作り出す。右シャドーのMF松本天夢が中央から持ち出すと、マテウス・ジェズスが松本の左前から正面へ動き出す。その動きが、千葉の3バックをゴール前中央へ集結させる。松本はコースがほとんどないなかで左足を振り抜き、シュートブロックされたボールが足元へ戻ってくると、左へ持ち出してもう一度フィニッシュしようとする。このボールは松本ではなく増山がシュートへつなげたのだが、ボールを持っていない選手の動きが相手守備陣を引きつけ、アタッキングサードで時間と空間を与えたのだった。
こうした攻撃の連続によって、長崎は前半だけで11本のシュートを記録した。首位の千葉にストロングポイントを発揮させず、狙いを持った攻撃を見せていったのである。