後藤健生の「蹴球放浪記」第266回「ビザ申請は面倒だけれど…」の巻(1)実感した「日本のパスポート」の信頼度、それでも「中国大使館」ではアウェイの洗礼の画像
2006年のサウジアラビアのビザ。1997年には緊急ビザという珍品をもらったが、アルゼンチンでピストル強盗に盗られてしまった! 提供/後藤健生

 海外でのサッカー取材は、ノートとペンだけあれば、事足りるわけではない。ビザが必要な国もある。蹴球放浪家・後藤健生は、そのビザ取得から「世界のリアル」を学んでいる。

■国境での「厳しい」審査

 日本人が外国に旅行するときは、日本の旅券(パスポート)と相手国の査証(ビザ)が必要になります。

 日本のパスポートはとても信用度の高いものです。

 昔、ハンガリーのブダペストからイタリアのミラノまで夜行バスを利用したときに、ハンガリーとオーストリアの国境で大変に厳しい審査を受けました。

 2001年、東ヨーロッパ諸国の共産党政権は崩壊してから10年以上たった頃ですが、まだ東側の国々はEU(ヨーロッパ連合)に加盟していませんでした(ハンガリーの加盟は2004年)。

 いったんオーストリアに入ってしまえば、EU域内は自由に移動することができます。だから、EU側は最初の入国ポイントでしっかりチェックするのです。

 バスがオーストリアの入国審査場に到着すると、乗客全員バスを降ろされ、建物内の一室に閉じ込められてしまいます。

 そして、一人ひとりが呼ばれて、旅券の他にさまざまな証明書を提示しなければなりません。50人くらいの乗客がこの厳しい検査を受けるので、終了するまでに1時間ほどかかりました。で、実際にオーストリア入国が認められずに、バスから降ろされてしまった人も2、3人いたようです。僕も、順番を待っている間、質問に答えらえるように頭の中でイメージトレーニングをしていました。

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