
今季のWEリーグ(日本初の女子プロサッカーリーグ)が終了した。最終節までもつれた優勝争いを制したのは、日テレ・東京ベレーザだった。かつての「絶対女王」は、いかにしてWEリーグ初優勝を成し遂げたのか。その舞台裏をサッカージャーナリスト後藤健生が明かす!
■18歳の天才に「期待」されること
そして、その菅野奏音とボランチを組んでいるのが、今や女子サッカー界全体で注目の的となっている眞城美春だ。
素晴らしいボールテクニックを持ち、また、遠くのスペースまで見通す戦術的な眼を持っている天才少女である。時には、テクニックを生かしてボールの動きを止めることで、攻撃のテンポを変えることもできる。将来の日本の女子サッカーを背負って立つ選手と言ってもいい。
4月のコロンビアとの親善試合のときに日本代表に初めて追加招集されると、親善試合そのものは招集された直後でベンチ外となったが、翌々日に行われたトレーニング・マッチで先発起用されてフル出場。終了間際にはゴールも決めてみせた。
得点力もある選手で、メディアからは「ボランチではなく、より攻撃的なポジションで起用したらどうか」という指摘もあり、松田監督自身も「前目のポジションのほうがいいのかもしれない」と認めていたが、テクニックがあってボールを失うことの少なく、また大きなパスを出せる眞城をボランチの位置で菅野と組ませたことでチームは安定した。ただ、選手個々のポテンシャルや将来性と、チーム力の向上を両立させるのは困難だ。
もっとも、ボランチでのプレーを経験したことは、眞城が将来より攻撃的なポジションでプレーするにしても、貴重な経験として残ることだろう。
また、ボランチでプレーしながらも、眞城は機を見て攻め上がって攻撃のセンスを見せつける場面も多く、実際シーズンを通じて4ゴールを決めている。
眞城も、日テレ東京ヴェルディベレーザの選手の流れを考えれば、いずれ海外移籍に挑むのだろうが、それまでベレーザの中でどこまで成長していくのだろうか?
INAC神戸レオネッサ戦のように、パワーで仕掛けられると、まだ弱気になってしまうこともあるようだし、周囲の選手に遠慮しているようにも見える。
眞城が、もっとエゴを発揮して周囲を使うようになるといいのだろうが……。