2000年の「6秒ルール」が使われない理由、鈴木彩艶、大迫敬介らゴールキーパーの「ボール保持の時間」で分かる意図【7月1日施行「8秒ルール」で日本サッカー界はこう変わる】(2)の画像
サッカー日本代表が参戦する「E-1東アジア選手権」での施行が噂される新ルール。鈴木彩艶や谷晃生、大迫敬介らは適応することはできるのか。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 この7月、サッカーの景色を一変させるかもしれない「ルール改正」が行われる。ゴールキーパーに対する「8秒ルール」だ。そのルールの内容と、それに対して、どう対応、さらには、どう適応していくべきなのか、サッカージャーナリスト大住良之が徹底検証する!

■イングランド、イタリアで「試験」

 ゴールキーパー(以降、GK)の安全を守るために、現在のレフェリングでは、GKが手や腕でボールを保持しているときには、相手チーム選手はそこにチャレンジする(奪おうとする)ことは許されていない。これは「インプレー」中においては例外的な状況であり、GKが手あるいは腕でボールを保持している間は、この競技の魅力のひとつである「ボールの奪い合い」が起こらないのである。この不公平を是正することも、今回の改正の目的のひとつだった。

 このルール改正についての公式トライアル(公的な試験、テスト)は、一昨年、2023年の11月にロンドンで開催されたIFABの「年次事務会議」で実施が決議され、昨年、2024年3月にスコットランドで行われたIFAB年次総会で正式認可された。そしてイングランド、イタリア、そしてマルタのサッカー協会がトライアル参加を申し出た。ただし、各国の2部までのトップリーグ、そしてA代表の試合では認められず、ユースや下部リーグの試合で行われた。

 そのトライアルでは、GKが8秒以上のボール保持をした場合の罰則として、CKだけでなく、スローインも可能とされていた。

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