■長崎が2対0とリードするが…

 敵陣左サイドのタッチライン際で、長崎左SB高畑奎汰、ボランチ松本天夢、左ウイング増山朝陽が狭いスペースでボールを動かしている。タッチラインを背にした増山がドリブルで持ち出し、右側の松本へはたいて相手ゴールへ向かっていく。

 この動きにリンクして、右SB米田隼也がペナルティエリア左角へ斜めに走り込んできた。松本が米田へワンタッチパスをつなぎ、米田もワンタッチで増山へ落とすと、背番号8がペナルティエリア内へ侵入する。目の前のスペースが空いている。米田のランニングに反応した札幌MF荒野拓馬が、それまで埋めていたスペースだ。

 増山はフリーで持ち出すことができ、右足でゴール右隅へ決めた。ラインを読み切ったパッティングのようなコントロールショットだった。

 後半開始直後の51分に奪った2点目も、相手守備網の間を突くランニングがきっかけとなっている。

 敵陣右サイドから左サイドへ展開して攻め直しをするなかで、ボランチの松本が左ポケットへ侵入する。この動きに、札幌の右CB家泉怜依が引っ張り出された。松本が左SB高畑へ落とすと、ゴール前へのクロスをマテウス・ジェズスがヘディングで決めてみせた。ゴール前にはフアンマも入り込んでいたため、左CB西野奨太はマテウス・ジェズスに付ききれなかったのである。

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