■広島戦は「試金石」となる戦い
【58分の山根陸の得点の場面】
ペナルティエリア内で細かいパスをつながれて、山根陸のシュートが決まる。
得点となった分かれ目は、安居海渡が植中朝日にプレスに行った場面だろう。安居は、ボールを奪いに行っている。そこで植中にかわされて山根へパスを出される。ここはボールを奪いにいかないで、相手の前に立ってフタをしてしまえばよかった。
安居の頭には、「ここで奪ったらカウンター」という場面が描かれていたのだろう。だが、得点差と時間を考慮すれば、植中にバックパスを出させるような守備の仕方でよかった。非常に細かいことだが、実は、人数は足りていた浦和だったが、安居のこのプレーがあったので、誰も前に出られなくなってしまったのである。
【87分のダニーロ・ボザのシュート場面】
ゾーンで守るチームの宿命とでも言える場面だろう。原口元気のクロスに対して、飛び込んでヘディングを決めたダニーロ・ボザ。ゾーンで守っていると、選手と選手の間に蹴られたボールに後ろから飛び込んでこられると、ケアできない形になってしまう。
「人任せ」とまでは言わないが、横浜は全員がボールウォッチャーになっている。今回の浦和の攻撃のように、セカンドボールを拾ってサイドに流し、そこでパスのやりとりがある場合、守っているほうは、同時に動き出しを繰り返さなければならなくなる。つまり、ラインを上げ下げする回数が増えていくのだ。そうすると、ボールウォッチャーにもなってしまうし、ゾーンで受け渡しをしていくことも難しくなってくる。したがって、最後は「人」につかないと相手にやられてしまうのである。
3連勝の浦和の次の相手は、4月25日金曜日のサンフレッチェ広島である。強敵ではあるが、横浜戦のように組織的な守備がきちんとやれれば、勝利を手に入れることは可能だろう。ちょっとしたプレー判断の違いで勝敗が決まってくる。浦和にとって、今後、上位進出できるかどうかの試金石となる戦いである。