【J1川崎を取材して感じた「育てる力と心」とは(10)】『FRO CAM』で現地の臨場感を日本に伝えた佐藤弘平広報。観客席でサポーターとともに応援するほど熱いチーム愛を生かしての画像
ACLE決勝を前にサポーターをバックにする川崎フロンターレの佐藤弘平広報 撮影:中地拓也
全ての写真を見る

 川崎フロンターレがサウジアラビア・ジェッダで迎えたACLEファイナルズ。現地に来ることができなかったサポーターにその臨場感を共有した一つの要素がYouTubeコンテンツ『FRO CAM』だ。ホテルでの様子、アウェイの様子、現地での様子、そしてロッカールームの中など、そのドキュメンタリーを記録したのが佐藤弘平広報である。

 今回、チームは2人の広報を現地に送った。一人が以前にこの連載で紹介した石田亮太広報で、もう一人が佐藤弘平広報。佐藤広報は今回、映像撮影を主に担当した。この大舞台を記録することの重要性をチームが認識していればこそ、専任をつけたのだ。
 佐藤氏にとって、チームに密着して映像を撮影するのはいかにも適任だった。というのも、もともとはチームのサポーターだ。日本で待つ人々が何を見たいのかを熟知している。現地の熱気を遠く川崎市に運ぶために、その感性が生かされた。
 佐藤氏のチーム愛を物語る瞬間がある。それは、2023年9月2日のヨドコウ桜スタジアムでの出来事である。ナイトゲームを前にサポーターは夕日に照らされながら声を張り上げていた。その中心部の最前列で飛んでいたのが佐藤広報なのである。
 佐藤広報は当時、違う部署にいた。しかし、この試合直後に広報に復帰することに。異動すれば自由にチームを応援できなくなるからと、遠く大阪まで足を運んだのだ。しかも、交通費は自腹。このエピソードだけでそのチーム愛は伝わるはずだ。

PHOTO GALLERY 全ての写真を見る
  1. 1
  2. 2