■並行クロスで「見えなかった」ボール
【10分の中山雄太のクロスの場面】
まずは、町田の攻撃シーンから。左サイドから中山雄太がクロスを入れる。GK西川がパンチングしたボールに、林幸多郎がヘディングでボールを叩きつけるも、マテウス・ホイブラーテンがカバーに入ってクリアする。
町田の基本的な攻撃パターンは、ゴールライン深くまでボールを運ばずに、相手が近くに寄ってくる前にクロスを上げるやり方をする。アーリークロスを上げる場所よりはゴールに近い場所だが、早めにボールをゴール前に上げてくる。こうした町田のやり方を事前に研究していたのなら、右サイドバック(以後、SB)の石原広教はもっと早めにクロスを上げる相手に近づいてプレスに行くべきだろう。
【14分のホイブラーテンの得点場面】
浦和のコーナキックは、ショートコーナーを使う。マテウス・サヴィオがグラウンダーのボールをペナルティエリアに送る。後ろから走り込んできたホイブラーテンが、左足でボールをゴール左に流し込む。
まず、セットプレーの際に、町田はマンツーマンで守備をしている。ホイブラーテンのマーカーは昌子源だが、ちょっと2人の距離が離れている。サヴィオからのクロスが平行に出されたことで、昌子の目の前にいるホイブラーテンがボールとかぶさっていたので、昌子にはボールが見えなかった。そのことで昌子は一歩、出足が遅れてしまい、寄せが甘くなっている。
さらに、渡邊がニアサイドに直線的に入ってきていた。渡邊のこの動きが大きかったことで、ホイブラーテンの前のスペースが空いてしまったのだ。渡邊の動き出しとホイブラーテンのシュートのうまさから生まれた浦和の先制点だった。
記事後半では、25分のGK西川周作のロングフィードの場面から分析したい。