「もし新しいチームを探すときは…」

  長い間、望んでいた海外移籍がようやくかなった昨シーズン。1年間のアメリカ生活、メジャーリーグサッカー(以降=MLS)経験を経て、キャリア観、人生観も大きく変わったようだ。
「一度、日本から出てしまうと、もし新しいチームを探すってなったときは、オファーが自分のとこに届いたら、(選択の)ハードルはすごく下がったっていうのはある。
 もし引退後、どこに住むのかも、“別に地球の中で探せばいいや”ぐらいの感じになりましたね。
“その英語力で?”って言われるんですけど、でも、本当にそれぐらいの感覚。1回、日本を出ちゃうと、別に生きていければ、どこでもいいのかなっていうのは思いましたね」
 そこには自然体でいながら、たくましく変貌を遂げた山根の姿があった。
 とはいえ、31歳の現役サッカー選手として、目指すところは変わっていないという。
「代表に入りたいし。もっとうまくなりたいし。サッカーをやっている間はたぶん、それは変わんないんじゃないかなと。MLSからでも代表入りする選手が出てきたほうが、よりMLSに日本人の目も向くのかなと思います」
 笑顔で話しながらも、一瞬、真剣な表情を見せたような気がした。
 2026年の北中米ワールドカップでのメンバー入りを目標に定め、今年さらなる活躍を心に期し、山根視来は日本を飛び立っていった。(文責/了戒美子)

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