
明治安田J1リーグ第33節、2024年10月5日、浦和レッズ対セレッソ大阪戦が埼玉スタジアム2002で行われた。試合は0-1でセレッソ大阪が勝利した。マチェイ・スコルジャ監督が指揮を執ってからの浦和は、1勝3敗になった。FC東京戦からC大阪戦までの3連敗において、浦和の抱える一番の問題は得点を奪えないことだろう。
C大阪戦で試合が動いた分岐点を中心に、チームの問題点とスコルジャが目指すサッカーについて分析していこう。
■「個人頼み」の守備からの脱却
スコルジャ監督になってからの浦和の試合を見ていると、そこにはもう、ペア・マティアス・ヘグモ前監督の築いた攻撃的なサッカーの特色はまったくなくなってしまった。
ヘグモ前監督の攻撃の特徴は、たとえば、バイタルエリア前で自分たちの選手がボールを持っていたとする。そのボールホルダーの次への攻撃の選択肢が3つはあったということだ。
ボールホルダー自身がドリブルで切り込む。または、どちらかのサイドでフリーになっている選手へパスを出す。あるいは、相手ディフェンダーとゴールキーパーの裏のスペースに入って行く選手にパスを出す。こうして選択肢を多く作り出すことで、相手の守備のマークがズレたりスペースが空いたりして、得点を奪っていくやり方だった。
筆者が浦和に関する試合分析コラムの中で何度も言及してきたことは、「守備の組織的構築」であった。
ヘグモ前監督の志向した守備は、「個人頼み」のやり方だった。選手個人のフィジカルやテクニックに依存した守備志向だったのだ。
それは、それでありなのだ。なぜなら、「攻撃的サッカー」を目指すヘグモサッカーにとって、攻撃に人数をかけると前がかりになり、選手が自陣に戻る際に遅くなって、守備の人数が足りなくなってしまう。そうしたことを「個人のフィジカルやテクニック」でカバーさせてきた。