■開始5分「いかにも風間らしい…」
僕が南葛を見るのは約2か月ぶりだったのだが、「本当にうまくなっている」と感じたのだ。試合開始からわずか5分くらいで、僕は「いかにも風間らしいパス回し」とメモしている。
選手と選手が次々とポジションを入れ替わる。だが、ポジションチェンジを繰り返しながらも、選手間の距離はしっかり保たれ、そしてワンタッチ、ツータッチで正確なリズムを刻んでパスが回っていたのだ。
2か月前と比べると、まるで別のチームのようだった。
試合は90分間にわたって、ほとんど南葛SCがコントロールして進んだ。決定機は何度もあった。だが、ゴールを決めることができないまま時計の針は90分を回った。決定力不足は明らかだ。
それでも、90+3分に南葛SCは、右サイドでFKを獲得する。
そのFKを蹴ったのが大前元紀だった。ボールはゴール前の密集を越えて、ファーポストあたりに落ちる。そして、それを加藤政哉が頭で決めた。
チームには稲本潤一や今野泰幸など、有名選手がいるが、中でも大前はほぼフル出場して前線で“違い”を見せている。
このFKの場面でも、あの距離から生きたボールを蹴ってファーサイドに合わせられる選手は、それほどいないだろう。
現状では、大前への依存度が大きすぎるし、とにかくこの東京ユナイテッド戦にしても、先日の東邦チタニウム戦にしても、決定力不足は明らかだ。
ただ、とにかく7月の試合ではパス回しのうまさに、僕はビックリしたのである。