後藤健生の「蹴球放浪記」第226回 パリ五輪サッカー日本代表「ナントの激闘と忘れえぬ美食」の巻(2) アルゼンチン戦「カスレー」と日韓W杯「コンビニ飯」、いつかの「ラーメンと地酒」の画像
トゥールーズで行われたアルゼンチン戦の入場券。提供/後藤健生

 サッカー取材に欠かせないものがある。旅先で、しっかりと栄養を摂ることだ。蹴球放浪家・後藤健生にとっては、食事はただの栄養補給ではない。その土地や国そのもの、そして文化を教えてくれるものなのだ。

■「ぜひ食べたい」フランス南部の料理

 ワールドカップのときのメディアセンターの食事なんて、そんなものなのですが、さすが、フランスは美食の国だけのことはありました。

 それなりのメニューが揃っていたのです。

 たとえば、フランス・ワールドカップで日本が初戦を戦った南部のトゥールーズ。ここのメディアセンターには「カスレー」というメニューがありました。

 フランス南部の料理で、各地に独特のカスレーがあります。大きなソーセージと豆類を煮込んだような料理です。

 僕は、まだこれを食べたことがなくて、「トゥールーズに行ったときにはぜひ食べよう」とは思っていたのですが、ワールドカップ初出場というのでメディアも盛り上がっていて、毎日のように原稿を書く仕事や、放送関係の仕事がありました。

 しかも、グループリーグの間は毎日TGV(高速鉄道)に乗って移動の連続です。アルゼンチン戦の前日にはリヨンで韓国対メキシコ戦を観戦。アルゼンチン戦の翌日も、リヨンに戻ってコロンビア対ルーマニアがあります。

 つまり、レストランに行っている時間なんかなかったのです(カタール大会の良かったのは、1日に2試合ずつ観戦しながら、さらにレストランに立ち寄る時間があったことでした)。

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