リズムのないプレーの中で「失点」するも
自陣の高橋はなから鋭い縦パス。受けた田中美南がフリック(味方選手からのパスに軽く触り、軌道を微妙にずらしてパスをつなげる技術)で右奥のスペースに流すと、そこには疲れ知らずの守屋が走り込んでいた。追いついてきれいなクロス。左から中央に走り込んできた植木のヘッドはバーを叩いたが、跳ね返ってきたところを田中が押し込んで2-0としたのだ。
だが、この後、日本の「プレースピード」が目に見えて落ちる。原因はよくわからない。ただ全体にポジションがあいまいになり、パスコースが減り、ひとりの選手のボール保持時間が微妙に長くなった。そのリズムのないプレーの中で失点が生まれる。
自陣深く、右サイドのスローイン。守屋はゴールライン近くの高橋に渡したが、そこからパスの出しどころがなく、高橋はペナルティーエリア左のDF石川璃音にピッチを横切るパス。石川はワンタッチで中盤につなごうとしたが、それが相手に渡ってしまう。そして日本のペナルティーエリア手前でリズミカルにパスを回され、最後はジェニファー・エチェギニに強烈なシュートを叩き込まれたのだ。
なでしこジャパンは前半のアディショナルタイムに北川ひかるが25メートルから見事なFKを決めて再び2点差とし、最終的に3-1のスコアのままで試合を終わらせたが、前半の5分ごろから2点目が入るまで見せていた「プレースピード」は、ついに再現されなかった。