「トップ選手はみんなサッカーオタク」

小久保 サッカーにおいてはヨーロッパが最先端で、ビッククラブがそろっているので、日本とはプレースピードが全然、違います。チームメートにワールドチャンピオンがいるのも珍しくないし、彼らの日常生活を間近で見ることもできるので、そこからの学びも大きいです。
 あと、トップ選手はみんなサッカーオタクなので、一緒に練習すると、すごく勉強になります。自分のサッカーIQは、ベンフィカに行って、一気にレベルアップしたと思います。
 以前よりも、1つ1つのプレーの判断が早くなったというか、パスが来て5秒以内に判断するんですけど、そのプレーが終わった瞬間、もっとこうできたなとすぐに思い浮かぶようになって、自分の中のサッカーについての「正解」が明確になりました。

――言語の壁は感じますか?

小久保 試合中のコーチング(味方チームプレーヤーに指示を出すこと)は困っていません。

“右”、“左”、“後ろ”、“前へ返して”とか、使う単語が10個くらいだとわかったので、それらを覚えてしまえば、チームメートとコミュニケーションが取れます。
 ハーフタイムのときにセンターバックの選手とビルドアップ(ゴールキーパーまたはディフェンダーが起点になって、自陣から前線へとパスやドリブルで攻め上がっていく一連の過程)について話したりはするけど、内容はシンプルです。
 キーパーよりも、フォワードや中盤の選手のほうがゲームを動かすために、あれこれコミュニケーションを取るので、高度な単語も覚える必要がある。それと比べるとキーパーは難しくないですね。
 自分のコーチングの質も、日本にいるときとポルトガルにいるときと、あまり差はないと思います。

――コーチングで大切にしていることは、なんでしょうか?

小久保玲央ブライアン(こくぼ・れお・ぶらいあん) 2001年1月23日生まれ、千葉県出身。193センチ、91キロ。ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれ、小学生時代は柏エフォートFCでプレー。柏レイソルU-15、U18で才能を伸ばし、18年、柏レイソルトップチームへ。同年1月開催の「アルカス国際カップ」で大会最優秀GKに選出されたことで世界的に注目され、翌19年1月、ポルトガル1部の強豪SLベンフィカのU-23チームに加入することに。20年8月には、UEFAユースリーグ決勝でレアル・マドリードと対戦。2-3で敗れるも、大会準優勝に貢献した。同年10月、2部SLベンフィカBで初ベンチ入り。22年1月、Bでデビューを果たし、5月にトップチームで初ベンチ入り。日本代表としては、U-15代表候補に選ばれたのを皮切りに、各年代で選出。今年4月のAFC U23アジアカップでは、数々のビッグセーブでパリ五輪出場権、アジア制覇に貢献。7月11日、ベルギー1部のシント=トロイデンVVへの完全移籍を発表した。

 

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