「一人で外せる能力がすごく高いなと」
藤田 選手との相性は、自分自身、そんなに気にするタイプではないのですが、光毅は一人で外せる能力がすごく高いなと改めて感じたので、そういったハッキリした武器があるというのは、すごくいい選手だなと思います。
――なるほど。では、そうした個性豊かなメンバーをキャプテンとしてまとめるうえで、何か心がけていることありますか?
藤田 アジアカップ中は、特に「キャプテンとして」というのは考えずにやっていたんですね。だから、チームが勝つために、一選手、一プレイヤーとして行動していたという感じです。だから、そんなにキャプテンとしてやらなければいけない、というように意識はしていなかったです。
――ゴールキーパーの小久保玲央ブライアン選手は、藤田選手はみんなを引っ張るというよりも、後ろから支えてくれていた、と話されていました。
藤田 自分自身、そういうふうには、特に心がけてはいなかったのですが、チームメイトから見てそういう一面があったのなら、そうなのかなと思います。
――では、藤田選手のサッカーとの出会いから、プロとして世界に羽ばたいていくまでを、転機、エピソードとともに振り返らせてください。
藤田譲瑠チマ(ふじた・じょえる・ちま)
2002年2月16日生まれ、東京都町田市出身。ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれ、小学生時代は町田大蔵FCでプレー。東京ヴェルディの下部組織で才能を伸ばし、2019年9月にトップチームデビューを果たす。その後、当時J1の徳島ヴォルティスから横浜F・マリノスを経て、2023年7月にベルギー1部リーグのシント・トロイデンへ完全移籍。日本代表デビューは、2022年7月の香港戦。4月にカタール・ドーハで開催されたU23アジアカップで、キャプテンとして日本代表を優勝に導き、自身も大会MVPに輝いた。パリ五輪出場を決めた準決勝のイラク戦では、長短2種類のパスで2アシストし、2-0の勝利に貢献。その広い視野、デュエルの能力、正確な技術、試合の流れを読む洞察力は、A代表の遠藤航(リヴァプール)以上との評価も。大岩剛監督の下、7月25日(パラグアイ戦)からのパリ五輪に挑む。ポジション=MF。身長175cm、体重76kg。