■磐田の割り切った戦い方
鬼木監督は磐田戦で大島僚太を先発起用した。このチームの背番号10は昨年序盤に負傷し、その後、長いリハビリが続いた。復帰戦は6月26日の湘南ベルマーレ戦で、10分間の出場で“リスタート”を切った。次戦のサンフレッチェ広島戦(6月29日)では8分間の出場で、中2日の連戦を経験。そして3試合目となるこの磐田戦でスターティングメンバーへと戻ってきた。
しかし、その起用は鬼木達監督が「半分か、60分程度」と想定するものだったという。交代カードを事前に“確約”することで戦術的に制限を受ける可能性もあるが、ではなぜ時間での条件付きでもピッチに送り出したのか。
それを推測する元が、ジュビロ磐田の戦い方だ。夏場ということもあり、そして、“武器”を最大限生かすためにも、磐田は前線に君臨するジャーメイン良とマテウス・ペイショットの2人の守備面でのハードさを軽減させ、攻撃時に体力を残すようにしていたという。それもあって、磐田はこの川崎戦で
「CBには持たせていい」と割り切っていたという。松本昌也は、「アンカーやボランチの選手にボールを入れて起点を作られるよりも、CBで回させるっていう意識」と振り返る。
そうした磐田の出方を考えたからこそ鬼木達監督は、窮屈になるであろうボランチの部分でしっかりとボールをキープして展開できる選手を置きたかったのではないか。試合後に「自分たちでボールを動かしながら焦れずにやろう」とも話した指揮官の言葉は、気持ちの通りだったはずだ。