■伊藤敦樹の冷静な指摘

 新体制に移行した浦和に相応しい勝利に近づいた――。誰もがそう考えたことだろう。だが、終盤にまさかの落とし穴が待っていた。

 2失点目の発端は残り1分というところで浦和が自陣で得たFKだ。大畑歩夢が蹴り、マリウス・ホイブラーテンから西川周作へと渡り、守護神は右サイドにいた前田直輝にロングボールを蹴り出した。しかし、前田は畑大雅に競り負け、さらにボールを追ったが奪い切れず、福田翔生から18歳の石井久継へとつながれた。その時、佐藤瑶大が前に出たが、抜かれてしまい、そのまま右足を振り抜かれ、同点に追いつかれてしまったのだ。

「ロングボールからの球際で負けてしまった。瑶大も残ってスペースをカバーしていればよかったところで前に出てしまいました」とヘグモ監督は問題点を指摘した。

 SNS上では前田直輝への批判が高まったが、伊藤敦樹は「蹴る場所も直輝君のところじゃなくて、チアゴに蹴った方が人数も多かった。FKのところを含めて、1つ1つのプレー選択が足りなかった」とチーム全体の問題だと強調。新生・浦和の経験不足が露呈されたと言っていい。

 そこで踏み止まっていればまだよかったが、この2分後に湘南のカウンターを浴びて、ルキアンに3点目を献上する。これはあまりにもショックが大きすぎた。

 田中聡からのラストパスを蹴り出せなかった佐藤は「あの2人(酒井とショルツ)を超えるっていう意味では、今日の僕自身はあり得ない。最後の失点したところを含めて」と自身に苦言を呈したが、やはり3失点は多すぎる。結局、勝ち点3を逃した浦和。彼らは終盤のゲームコントロールという重大な課題に直面したのである。

(取材・文/元川悦子)

(後編へ続く)

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