■人口562人「サーク代表」を襲った悲劇

「アイランドゲームズ」には、日本の5.7倍もの広さを持つグリーンランドから、わずか5.45平方キロという小島の「サーク」まで参加チームは千差万別。サーク島は、この記事に何度も出てきた「チャンネル諸島」のひとつで、ガーンジー島の東に属島のように浮かんでいるが、自治権を持つ島である。しかし、人口も562人と、アイランドゲームズ参加チームのうちでは一番、小さい。

 英国王室領のサーク。サッカーは古くから行われていたが、来航した船の乗組員や、夏のバカンス時期のアルバイトたちとのゲームぐらいしか試合の機会がなかった。そこで2001年に、この島初のサッカークラブ「サークFC」が設立され、隣島のガーンジー協会に加盟登録し、カップ戦に参加するようになった。ただ、直線距離ではわずか10キロほどしか離れていないのに、サークからガーンジーへの直行の船便はなく、一度南のジャージーまで渡り、そこから船を乗り換えて戻るように北のガーンジーに向かうと、2時間以上かかった。

 そして2003年、アイランドゲームズがガーンジーで開催されるに当たって、サークはエントリーを決意。15チームがエントリーする中、D組に入ってジブラルタル(英領)、ワイト(英国)、そしてグリーンランドと対戦した。ジブラルタルは「島」ではなく「半島」の先端部分なのだが、大昔に島だったところが砂州でイベリア半島本土とつながったために「島」と認められたのだろうか…。

 ともかく、サークはひどい目にあった。初戦のジブラルタル戦は0-19、第2戦のワイト戦は0-20、そして3戦目のグリーンランド戦は0-16。計0-55。さらに順位決定戦のフローヤ(ノルウェー)戦も0-15。6日間で4試合を戦い、得点ゼロ、失点70と、サッカーとは思えないスコアになってしまったのである。

 その戦いの中で唯一、名を残したのが、19歳のGKレオン・バーレットソンだった。彼は6月30日に大学グラウンドで行われたワイト戦で、1試合で2回PKをストップするという離れ業をやってのけたのである。試合は0-20の敗戦だったけれど…。以後、サークのサッカーチームはアイランドゲームズにはエントリーしていない。

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