グスタフソンは「なぜフリーで侵入できたのか?」
なぜ、グスタフソンがフリーでペナルティエリアに侵入できたのか? まず、サンタナが左サイドにランニングすることで、右SBの藤原奏哉がつられてしまい、カバーが遅れる。さらに、グスタフソンについていかないとならないセンターハーフ(以後、CH)の秋山裕紀が歩いていることが問題だ。また、CB舞行龍ジェームズが前に出てくる必要がない。もう少し我慢してポジションを守るべきだった。彼が前に出ててきたことで、右ウインガーの前田直輝が、彼がいるべきポジションに入っていくので、左SBの早川史哉がついていかなければならなくなった。もはや守備の崩壊と言える。
新潟の左サイドには誰もいない状態になってしまった。1人の選手が少しの判断ミスや、あるいは「さぼっている」ように見える動きをすると、全体の守備が崩れてしまうのだ。
69分の前田の得点は、まず、新潟が攻撃に入ったときに、ボールを奪われた場面からスタートしている。新潟のボールの奪われ方が悪かったことと、攻守、守攻の切り替えが遅いことが失点の原因になっている。CHの秋山がもっと全力で戻らないとならない。せめて、シュートコースを狭めるくらい、前田にプレッシャーをかけにいかないといけなかった。
また、遠藤がこの場合は前に出てサンタナにプレスに行けば、前田へのスルーパスを防げたかもしれない。なぜならば、遠藤がサンタナに寄せていくことで、遠藤のポジションが空いて、秋山が「戻らないとならない」ということを知らせることになるからだ。
さらに、遠藤がサンタナに全力で寄せにいくときに、サンタナの右方向を「切る」やり方をすれば、彼は左サイドにしかボールを出せなくなる。やはり、サンタナに対してノープレッシャーだったことが問題だった。一瞬一瞬の判断が試合の勝ち負けを決定づけてしまうのである。