日本代表2選手の離脱で覚醒「10試合連続得点」FW、「ダイナミック」トップ下、「得点を生む」左サイド、「19歳」の新星【リーグ2連覇の浦和L「アジア制覇」舞台裏とクラブの未来】(2)の画像
仁川現代戦で同点弾を決めた清家貴子。選手層の厚さがアジア制覇、そしてリーグ2連覇につながった。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 三菱重工浦和レッズレディースが、アジアの頂点に立った。AFC女子クラブ選手権で、優勝したのだ。さらに、その2日後、WEリーグで連覇を果たした。2つのタイトルを獲得した浦和Lの知られざる「激闘の裏側」と、「クラブの未来」について、サッカージャーナリスト後藤健生が熱く語った。

■新旧なでしこ2人が負傷「長期離脱」も…

 平坦な道ではなかった。

 とくに、1月に行われた皇后杯全日本女子選手権大会で、主力の安藤梢と猶本光の2人が負傷して長期離脱となり、リーグ戦後半はこの2人を欠いての戦いとなった。

 安藤は、すでに41歳の大ベテランだが、スピードなどは全盛期と変わらず、今シーズンは主に左サイドのアタッカーとして起用され、ゴールに対する独特の嗅覚を生かして、こぼれ球を決めて得点を重ねていた。

 一方、トップ下の猶本も現在は日本代表にもすっかり定着。かつては「自分が結果を残さなくては」と肩に力が入ることが多かったが、最近は余裕を持ってプレーできるようになって一段と成長していた。

 しかし、この主力2人を欠いても、三菱重工浦和レッズレディースのチーム力はほとんど落ちなかった。

 得点源の安藤が不在となったことで覚醒したのが、右サイドアタッカーの清家貴子だ。ドリブルでの突破力やスピード、フィジカル能力の高さには定評のある選手だったが、得点力に目覚め、なんと「トップリーグで10試合連続得点」という男女を通じて初めてという大記録を樹立。連続得点記録は「10」でストップしたものの、1試合を挟んでその後の試合でも得点を積み重ねており、さらに日本代表(なでしこジャパン)のアメリカ遠征でも、アメリカ戦で開始直後に先制ゴールを決めている。

 また、猶本が入っていたトップ下にはダイナミックなプレーが得意な塩越柚歩が入って、うまく両サイドを使いながら攻撃のタクトを振るっている。また、安藤のいた左サイドでは伊藤美紀が素晴らしいプレーをしている。伊藤は本来はサイドアタッカーというよりもセントラルMFタイプだけに、サイドから中央のポジションに入って、そこで得点につながる仕事をこなしている。まさに、仁川戦の同点ゴールをお膳立てしたプレーがそうだった。

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