鈴木彩艶は「まったく虚をつかれていなかった」
そんな山野氏に、3月21日に行われたFIFAワールドカップ2026アジア予選の2次予選、日本対北朝鮮戦でのGK鈴木選手のプレーについての分析を依頼しました。
試合は皆さんもご存じの通り、試合開始2分の田中碧のゴールにより、日本が1-0で勝利を収めました。では、ここから、筆者と山野氏の会話の流れを詳細に記していきます。
ーーこの試合のGK鈴木選手のプレーについて、ポジティブな点をあげるとすれば、どのプレーになりますか?
山野 後半開始早々、46分45秒くらいからのプレーに注目してください。
ーー北朝鮮の10番ハン ・グァンソン選手がシュート打って、ボールがゴールポストに当たって弾かれた場面ですね。
山野 きわどいシュートでした。北朝鮮のGKカン・ジュヒョク選手がロングボールを蹴り込んできて、相手と競り合ったディフェンダー(DF)の板倉滉選手が処理できなかったボールを、コントロールもせずにハン・グァンソン選手がボレーで打ってきたんです。それを鈴木選手が少しだけ触ったことで、ポストにボールが当たって弾かれました。
あれは、素晴らしいセーブでした。あの場面を見ていた読者の方は、「虚をつかれたシュート」だったという認識があるのではないでしょうか。しかし、鈴木選手は「まったく虚をつかれていなかった」のです。
ーーそれは、どういう意味ですか?
山野 鈴木選手は、板倉選手が処理できなかった場面を見て、シュートが来ることを予測したポジショニングを、すぐにとっているんです。最初は、自身が前に出て処理することを想定して高めにポジショニングしていました。しかし、状況が変わり、ハン・グァンソン選手がシュートを打つだろうと予測して、瞬時にポジションを下げたんです。