「日本代表ゴールキーパーは【鈴木彩艶】で大丈夫か」GKプレジャンプ着目の南葛GKコーチが「日本VS北朝鮮」検証(1)失点を防いだ「絶妙ポジショニング」編の画像
北朝鮮戦を見事、ゼロ封したGKの鈴木彩艶。撮影/原壮史(Sony α‐1)

  第2戦が中止となる衝撃の幕切れとなった、日本代表VS北朝鮮代表のワールドカップ2026アジア予選。開始早々の田中碧のゴールで勝ちを拾ったサムライブルーだが、今後、世界の強豪と戦ううえで、いくつもの課題が見つかったと、考えている人も多いのではないか? 本稿では、ゴールキーパーの「プレジャンプ」動作に着目したひとりで、現在、南葛SCユースのGKコーチを務める山野陽嗣氏に、日本代表の守護神である鈴木彩艶について話を聞いた。

元U-20ホンジュラス代表GKコーチが「日本代表GK」斬り

 読者の皆さんは、「プレジャンプ」という専門用語をご存じだろうか? ゴールキーパー(以後=GK)がシュートなどをセーブしようとする前に、少しジャンプしてから対応することです。

 GK専門コーチならば、誰もが知っている用語です。しかし、「プレジャンプ」の概念は、これまで一般化されていませんでした。この用語の一般化に貢献したGKコーチのひとりが、今回、日本代表のGK鈴木彩艶のプレーを分析してもらう山野陽嗣氏です。山野氏がツイッター(現エックス)やブログで、JリーグのGKには「プレジャンプ」をする選手が多くいることを指摘したことで、あるメディアでも「プレジャンプ」が取り上げられたこともありました。

 ただし、この「プレジャンプ」の是非については、GKコーチたちの間では意見が分かれます。「プレジャンプ」をすることで、タイミングをズラしてしまってイージーなミスにつながってしまうという意見もあれば、「プレジャンプ」をすることで、反動がついてスムーズに動き出すことができるという見解もあります。筆者の見立てでは、当時の山野氏の意見は、「プレジャンプ」をすべて否定するのではなく、「大きな予備動作」がマイナスに作用したGKのプレーに対し、苦言を呈していたと記憶しています。

 さて、山野氏の経歴ですが、約5年間、浦和学院高等学校のGKコーチをしていましたが、今季から関東サッカーリーグ1部に所属する南葛SCのU-18チームのGKコーチを務めています。過去には、U-20ホンジュラス代表GKコーチなども歴任しています。筆者は、以前から山野氏のGK理論や分析に興味を持っており、サッカー批評Webの前身であるサッカー専門誌『サッカー批評』では、一緒に仕事をしたこともありました。

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