■「失点した時にシーンとなっちゃうのは良くない」

 山本自身は日頃からベルギーで、敵味方にアフリカ系の選手も多い中で揉まれており、そうした慣れに関しては「それもあるとは思います」と前置きしながら、「僕の場合はそこの技術だったり、つなぎのところが生命線なので。そこで他の選手と一緒じゃいけないし、そういういらないロストは僕は減らして行かなといけないと思っている」と自負を語ったが、そうしたところのアジャストにチーム全体が苦しんだこと以上に、山本が感じていたのがメンタリティの部分だ。

「失点した時にシーンとなっちゃうのは良くないと思うし、間違いなく全員が話してた方が雰囲気がいいと思うので。そういう雰囲気は全員で作り上げていくものなので。求めていきたい」

 元々、A代表の久保建英(レアル・ソシエダ)やGK鈴木彩艶(シント=トロイデン)はもちろん、斉藤光毅(スパルタ)や鈴木唯人(ブレンビー)など、五輪予選を兼ねる4月のU―23アジアカップに招集が難しいとされる欧州組の主力が外れたメンバーで、大岩監督は次のウクライナ戦と2試合で26人のメンバーを全員使いたいと語っていた。

 このマリ戦も本来の主力と見られる”ジョエル”ことMF藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)がベンチスタートになるなど、短期間での連戦になるU―23アジアカップを見越したテストを感じさせる起用法ではあった。

 次のウクライナ戦ではキャプテンの山本がベンチスタートになる可能性が高い。そうした状況でも山本は「出るでないに関わらず、やっぱりこの世代でずっとやってきた選手として発信していきたい」と語るが、全体的なリーダーシップ不足というのは結果以上に重く受け止めていく必要があるかもしれない。

(取材・文/河治良幸)

(2)へ続く
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