■オペレーターの重要性

 このトレーニングを見学させてもらって感じたことがいくつかあった。

 まず感じたのが、「スピード」という面で、オペレーターの技量がとても重要らしいという点だ。

 使用できる映像は実況放送用の映像。Jリーグで言えば「DAZN」の映像だ。試合の重要度によって中継用カメラの台数は異なるが、技術的な理由でVARで使用できる映像は最大で12なのだという。

 その最大12の映像の中で、VARが必要な映像を迅速に提供する。つまり、VARがどんな映像を見たいのかを伝えると、瞬時にその映像を探すのがオペレーターの仕事だ。機械の操作の速さと、VARの指示を理解する能力が必要となる。

 VARのトレーニングと同じくらいの時間をかけて専門のオペレーターを養成すること。それが、VARに費やされる時間を短縮する鍵となりそうだ。

 昨年度でレフェリーとしてのキャリアを終えた佐藤隆治氏がJリーグのマネージャーとしてVARの指導をしているのだが、佐藤氏によればヨーロッパでは非常にサッカー知識が豊富でVARが何か要求するより前に、どんどん適切な映像を提供してくれるようなオペレーターもいるそうで、そうなると、VARはただ目の前に出てきた映像を見て判断すればいい状態になるという。

 日本でもそんなオペレーターが育成できれば、VARの負担は大幅に削減され、時間も短縮できるだろう。

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