■南野拓実「単発な攻撃も多かった」」
この日がイスラム教徒にとって特別な日に当たる金曜日だったこともあり、現地在住、あるいは世界各国に移民したイラク人がエデュケーション・シティスタジアムに集結。日本がボールを回すたびにブーイングが起きるような雰囲気もマイナスに作用したのだろう。彼らの球際の強さ、局面のバトルに負け続けた日本が攻撃の形を作れず、前半シュート3本にとどまり、終了間際に再びアイメン・フセインの一撃を浴びた時点で試合は決まったと言ってもいいだろう。
「球際もそうですし、セカンドボール、エアバトルの1対1、奪えないにしろ前を向かさないとか、一歩寄せきれないあたりとか、まだまだ甘いなと。そういう小さな差が勝敗を分けたのかなと思います」と中盤の要の1人・守田英正(スポルティング・リスボン)が守備面の反省を口にする傍らで、南野拓実(モナコ)は「(攻撃の)何が最適解か分からなかった。ゴール前に迫っていく回数も前半少なかったし、単発な攻撃も多かった」と悔やむしかなかった。
とりわけ、攻撃面ではサイドからの崩しが不発に終わった。相手も右の槍である伊東を止めるべく、あえて守備力の高い左SBを起用。彼が持ったら最低2人が見る形を取っており、推進力を発揮しきれなかった。左の南野とトップ下の久保建英(レアル・ソシエダ)の連携は不十分で、最前線の浅野拓磨(ボーフム)にもボールが収まらない。前半45分間の停滞が2失点につながり、覆せないほどの大きなビハインドになった。
中東勢の激しさとアグレッシブさ、徹底した日本対策に、優勝候補筆頭と目されたチームはアッサリ敗れたのである。
(取材・文/元川悦子)
(後編へ続く)